ベルリンから、第36回サンパウロ・ビエンナーレ・総合キュレーターのボナベンチュール・ソー・べジェング・ンディクン博士(Prof. Dr. Bonaventure Soh Bejeng Ndikung)を迎えて、アートとイノベーションのシンポジウムを行います。
ヒップホップアーティスト、DJ、笛奏者、現代アーティスト、茶人まで、多様なゲストと、時の流れを止め、アート、政治、イノベーションについて考えます。
【趣旨】
聞こえる声もあれば、聞こえない声もある。社会には何が感じられ何は感じられないのかを規定する感性/意味のシステムが存在し、特定の存在は排除され声が与えられない。「イノベーション」はこのシステムを解体することである。それはシステムから排除された声にならない無言の声を聞き取ることから始まる。そして、この声は理路整然としたシステムの内部に収まり切らず、声でありながら声を越え、システムを切り崩す。詩の沈黙にしか到達できない排除された領域がある。この力が「ブラックネス」であり、バイクライフやヒップホップの政治でありアートの真髄ではないか。
同時に、この声が聞こえるように既存の感性/意味のシステムを切断することは、意味の通らない瞬間を生み出すことであり、 意味の充実した内容ではなく、純粋で空虚な形式が出現する唯一無二の場を切り開くことである。意味が通らず、時が止まり、詩が沈黙するとき。真に新しいものは、この純粋で空虚な形式からしか生まれない。意味あり内容の充実したものは、意味のシステムとそこからの排除を前提にしている。この空虚な形式の瞬間に、無言の声が聞こえてくる。
アートはこれを実践する。アートは社会における意味のシステムを宙吊りにするものであり、無-意味な形式を表現することで無言の声を聞かせる。アートとは、この意味でのイノベーションであり、イノベーションはアートを実践する。日本のアートである茶の湯も、このような意味の切断、そして純粋な形式の瞬間を生み出し、一期一会の唯一無二の出会いを可能にする。その静寂な瞬間に、システムには収まりきらず、それを切り裂く過剰が現われるだろう。
京都大学がリードし、京都市立芸術大学と京都工芸繊維大学と共同で進めている「京都クリエイティブ・アッサンブラージュ」のプログラムは、このような考え方に基づき、創造性を育てている。本シンポジウムは、2021年からのこれまでの成果を振り返り、次の方向性を見極めるための、実験的な試みである。
【開催概要】
Day1
■日 時:2025年12月20日(土)10:15-18:00
■場 所:京都大学時計台1階 百周年記念ホール
■参加費:無料(企業から業務として参加の場合3,000円)
■予 定:
10:15-13:15
第1部 詩の沈黙: バイクライフとヒップホップ The silence of poetry: Bikelife and Hiphop
ヒップホップ、バイクライフ(米国東海岸のバイク文化)などを題材に、「ブラックネス」の政治とアートを議論する。
沖縄のヒップホップアーティストによるパフォーマンス、そしてパネルディスカッション。
13:15-
昼食
(会場は飲食不可ですので近隣で各自で取っていただくことになります。京大のカフェテリアルネは営業しています。)
14:30-18:00
第2部 意味の宙吊り: イノベーションとアート The suspension of meaning: Innovation and Art
意味のシステムに解体するイノベーションを議論する。アートの政治的実践、政治的アートを議論しつつ、茶の湯にも触れる。
雲龍の笛の演奏で始まり、最後はDJ SNIFFの音楽で複数の線(tracks)をたどる。
Day2
■日 時:2025年12月21日 (日) 14:00-16:00 [連動イベント] Bonaventure教授キュレーション講義
■場 所:京都市立芸術大学 C棟4階 講義室10
■参加費:無料 (どなたでも歓迎)
イベント詳細はコチラ
https://artxinnovation-kyoto.peatix.com/
【問い合わせ】
主催:京都クリエイティブ・アッサンブラージュ/京都大学エステティック・ストラテジー・コンソーシアム
問合せ:info@assemblage.kyoto
