「食」と「農」への関心が高まる中、ICT制御を取り入れた植物工場の展開、いわゆるスマートアグリの導入が注目されています。 オランダなどで先進的に開発されたスマートアグリを日本で展開しようとした時、より高品質な作物を、より外部環境の変化が大きな土地で、高度に環境制御しながら栽培することが求められます。
本研究会では、生育中の植物の状態を高度にモニタリングしながら生育環境制御を行う「次世代スマートアグリ」について、最新の研究紹介に基づき考えます。
本学農学部の植物生命科学科の永野惇講師が、植物の遺伝子発現を網羅的に計測し、このいわば生物的ビッグデータの解析によって植物の動的な内部状態を知る「トランスクリプトーム解析技術」を紹介し、この技術がもたらす次世代スマートアグリの可能性を展望します。
また、大阪府立大学に設立された植物工場研究拠点、植物工場研究センターの福田弘和准教授が、時間と経費を節約する「ハイスループット生物情報計測技術」の大規模植物工場への展開について紹介いたします。さらに、将来展開をユーテック株式会社ユーテック研究所の鷲田治彦様が、野菜水耕栽培をリビングのインテリアとするユニークな研究について紹介します。
【日時】平成28年7月11日(月) 14:00~17:10(受付開始 13:30)
【場所】龍谷大学 瀬田キャンパス REC小ホール
(大津市瀬田大江町横谷1-5 JR琵琶湖線「瀬田」駅よりバス約8分)
【申込方法】以下のいずれかでお申し込みください。
・下記「お申込みはこちら」からお申込み
・添付「チラシ」内の裏面申込書をFAX.にてお申込み
・E-mail(rec@ad.ryukoku.ac.jp)に必要事項(チラシ裏面を参照)を記入のうえ、送信
【参加費】無料
【プログラム】
1 開会の挨拶(14:00~14:10)
2 講演
(1)「トランスクリプトームにより植物の内部状態を知る」(14:10~14:55)
龍谷大学 農学部植物生命科学科 講師 永 野 惇 氏
農作物の栽培において、養分が足りているのか、水が足りているのか、病気になっていないか、など外から見てわかりにくい状態をいち早く知ることは非常に重要です。しかしながら、現状では多くの場合、農家の熟練の眼による判断に頼っています。これを汎用化するためには、再現可能な技術に落とし込むことが必要です。そこで我々は植物の遺伝子発現を網羅的に計測するトランスクリプトーム解析と各種の情報解析技術を組み合わせることで、植物の内部状態を推定することを可能にする技術の開発を進めています。また、その技術を発展させ、作物栽培における予測と制御を実現するために進めている研究を紹介します。
小休憩(5分間)
(2)「大規模植物工場におけるハイスループット生物情報計測技術」(15:00~15:45)
大阪府立大学大学院 工学研究科 機械系専攻 准教授 福 田 弘 和 氏
植物工場は、光や温度、湿度、二酸化炭素濃度、養分、水分等の植物の生育環境の高度な環境制御の下で、植物の診断や生育等のモニタリングを通じて、野菜等の有用植物の生育を促進させ、計画的、安定的生産を可能とする栽培施設であり、人工光型と太陽光併用型に大別されます。
大阪府立大学では2009年に、経済産業省・農林水産省の植物工場拠点整備事業により植物工場研究センターを設立し、さらに2014年9月には経済産業省「イノベーション拠点立地推進事業」によって日産5,000株の大規模な植物工場を建設しています。この大規模な植物工場では、ハイスループット生物情報計測技術として苗診断技術などを導入し、植物の診断や生育等のモニタリングを通じた高品質な野菜作りを目指しています。本講演では、苗診断技術や成長計測技術などを紹介します。
休憩(10分間)
(3)「家庭用遂行栽培器Green Farmの研究開発とその可能性」(15:55~16:40)
ユーテック株式会社 ユーテック研究所 主席研究員 鷲 田 治 彦 氏
家庭用水耕栽培器Green Farmシリーズは2013年から発売され、家庭で新鮮な野菜を手軽に栽培、収穫し味わえるだけでなく、インテリアとしても注目されています。また、栽培器本体だけではなく、種子、液肥、栽培スポンジの提供も行っており、レタス等の葉菜だけではなく、ハーブ野菜、ミニトマト、根菜等、多彩な野菜の栽培が可能となっています。本研究会では、住居内で野菜を栽培するアドバンテージに着目した研究について、またGreen Farmの新たな利用方法について紹介いたします。
3 名刺交換会(16:40~17:10)
詳細⇒http://www.ryukoku.ac.jp/event/detail.php?id=2284