Ⅰ.基本方針

我が国においては、イノベーション創出力の強化による日本経済の発展を重要な成長戦略と位置づけ、その中で従来の産学官連携施策を検証し、必ずしも十分な成果を挙げていないとした上で、新たに成果目標を設定し社会実装に至る政策を打ち出している。
また、国内の他地域においては、地元の有力大学を中心に地域の特色を活かし、産学公連携の取り組みを強化、新製品開発や新分野進出を支援して地域経済の発展に取り組んでいる。

この間、京都では知的クラスター創成事業や地域イノベーション戦略支援プログラム、スーパークラスタープログラムをはじめ、国資金も導入し、多くの産学公連携プロジェクトを展開し、先端的な研究成果や社会実装に多くの成果を挙げてきた。

また、京都次世代ものづくり産業雇用創出プロジェクトも活用した分厚い支援体制を構築し、京都府、京都市や関係機関の各種助成事業やコーディネータによるソフト支援、拠点整備等産学公連携の発展に精力的に取り組んできた。

しかしながら、国プロジェクトが終了する中で、京都が一層の成長を果たすためは、産学公がそれぞれの強みや特徴を活かした取り組みを強めていく必要がある。一方で京都産学公連携機構が行った関係機関との共同調査等によると、「京都における産学連携活動が、企業と多様な大学の地理的な近接性、集積効果を活かし切れていない」、「大学研究者に対する京都企業の情報発信・理解が十分でない」等の課題があることが分かった。
これらの課題を踏まえると、産学公連携をさらに推し進める余地は十分にあることがうかがえる。

令和元年度、京都産学公連携機構は、京都産業育成コンソーシアム、(一社)京都産業エコ・エネルギー推進機構と運営を一体化し、京都経済センター機能の一翼を担う(一社)京都知恵産業創造の森となった。京都産学公連携機構は一体化効果を活かし、産学公連携を通じて法人が行う「交流と協働による新たな価値創造の推進」、「次代の京都産業を担う産業人材の育成」の取り組みをさらに進めていく。

共同調査の結果も踏まえ、企業と大学それぞれのニーズ・シーズをマッチングする取り組みを強化するとともに、京都経済センターの機能的・地理的な優位性を活かし、関係団体との連携を強化し、理系、社文系を問わず京都産業・地域の発展に資する京都ならではの多様な産学公連携を進めていく。

【重点取組】
・京都経済センターを核とした産学公連携に携わる人材の育成
・地域企業と大学の連携による新たな価値の創造
・公設試験研究機関が持つ技術・設備の活用

【実施項目】
・中小・ベンチャー企業と大学の交流によるオープンイノベーションの促進
・京都経済センターを核とした産学公連携に携わる人材の育成
・地域連携を含めた幅広い産学公連携活動の展開
・京都における産学公連携発展のための調査・研究
・構成団体等への産学公連携に関する情報の提供
・京都経済センターの機能を活用した産学公連携の発展に資する取り組み

Ⅱ.体 制

    事務局長(1名)、コーディネータ(2名)、産学公連携マネジャー(1名)

Ⅲ.主な実施事業

1.中小・ベンチャー企業と大学の交流によるオープンイノベーションの促進

    産学連携対話の開催(継続)

    大学や企業等の各種情報を共有するとともに、率直に意見交換を行うことにより、大学と企業の相互理解を推進し、京都における産学連携の拡大・深化を促進するため、大学と産業界が一堂に会する「産学連携対話」を開催する。

    企業のための大学活用セミナー(新規)

    大学の特色のある研究をテーマに、産学公のさまざまな分野の参加者に対して行うことにより、共同研究・受託研究・商品開発につなげるためのセミナーの開催を行う。

2.京都経済センターを核とした産学公連携に携わる人材の育成

    知財マネジメント実践講座(新規)

    大学、特許庁等関連機関と連携し、有識者によるコンテンツ産業に関する知財講習を開催する。

    産学公連携セミナー(継続)

    産学公連携に携わる人材の育成と企業の取り組み拡大を図るため、デザイン思考による開発を紹介するセミナーを開催する。
    ・対  象:産学公連携に従事する企業、産業支援機関等の従事者他

    ・内  容:府内外の産学連携の好事例の紹介

     (大学研究者、企業担当者等による)

    コーディネータ研鑽交流会の開催

    ・実施回数:2回程度
    ・内  容:産学公連携の拡大や企業支援に資する講演会と交流会
    ・対  象:大学、支援機関コーディネータ、職員等

3.地域連携を含めた幅広い産学公連携活動の展開

    京都「大学の知恵」活用認定制度の展開

    昨年度本格実施による成果、課題を踏まえ、加盟大学の研究成果を活用した取り組みに対しロゴマークを活用して、大学の社会貢献の見える化を図り、京都ならではの多様な産学公連携を発信する。

    • 加盟大学、府、市、機構による活用
    • 京都「大学の知恵」活用認定制度推進会議での事例の検証、発展方策の検討
    • 使用状況の調査・分析
    • 周知広報の配布

    産学公連携相談窓口の設置(継続)

    府内企業の産学連携ニーズに対応するため、相談窓口を通じて企業から大学への橋渡しを随時実施する。

    大学リエゾン情報交換会・金融機関情報連絡会(継続)

    加盟大学のリエゾン機能、ネットワークの充実強化を図り、京都の産学連携に係る総合力を一層向上するよう、大学リエゾン協議会を運営する。

    ・実施回数:3~4回程度
    ・対  象:加盟大学リエゾン事務局職員・金融機関職員
    ・内  容:大学間の情報交換、産学・地域連携に資する情報提供他

4.京都における産学公連携発展のための調査・研究

    公設試験研究機関の実態調査(新規)

    昨年度の京都工芸繊維大学の調査に続き、府内外の産学公連携活動の一翼を担う公設試との共同調査を実施、結果を発信し、京都の産学連携のより一層の拡大・深化に活用する。

    • 産学連携の仲介体制や実施状況、研究員の取り組み等の調査等
    • 報告書及び概要版の作成、情報発信(京都企業への配布等)

5.構成団体等への産学公連携に関する情報の提供

    産学公連携支援事業説明会(継続)

    国、府、市、関係機関の支援施策等に関する説明会を企業、コーディネータ、大学等を対象に開催する。また、金融機関や公益財団法人等との連携の下、助成金公募情報の説明会を開催する。

    国内の研究開発法人、公益財団法人等が行う助成事業の公募情報を提供(継続)

    各加盟大学の産学連携、地域連携の特色を調査・分析し発信(継続)

6.京都経済センターの機能を活用した産学公連携の発展に資する取り組み

    産学公連携研究開発事業(新規)

    加盟大学の産学連携案件の創出、産業人材育成に取り組むにあたり、オープンイノベーションカフェ等の京都経済センターの機能を活用し、産学公連携事業を実施する。

    ・実施回数:3~4回程度
    ・対  象:加盟大学
    ・内  容:大学との共同開催によるイベントの実施を通じて、大学の知見の魅力を発信することにより共同研究・受託研究・商品開発のきっかけづくりを行う。